αリノレン酸とは?その効能効果

αリノレン酸とは?その効能・効果

αリノレン酸のアマニ油やエゴマ油

αリノレン酸とは油の成分のひとつで、体内のリン脂質にも含まれる成分です。

 

脂肪酸は、炭素、水素、酸素から成っており、構造の中に炭素の結合を2つ以上ある多価不飽和脂肪酸です。多価不飽和脂肪酸は、人間の体ではつくることが出来ず、食品から摂る必要がある必須脂肪酸です。

 

αリノレン酸は、多価不飽和脂肪酸の中でもオメガ3系脂肪酸と呼ばれるもので、青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と同じ分類に入り、体内に摂取されるとDHAやEPAに代謝されます。

 

ちなみに、オメガ3系いわれるのは、脂肪酸構造の中に炭素の最初の二重結合が、3つ目と4つ目の炭素の間にあることによるものです。また、リノレン酸には、「α(アルファ)」「γ(ガンマ)」「β(ベータ)」などの種類がありますが、これは発見された順番を示していて、、リノレン酸の中で1番目に発見されたということを意味しています。αリノレン酸は、リノレン酸の中で最も早く、1887年に発見されています。

αリノレン酸の効能効果

αリノレン酸は、人間の体内では合成することができず、もし不足すれば脳や神経、皮膚などに影響が現れます。この為、食品から摂取することが必須とされています。

 

αリノレン酸は、亜麻エゴマなどに多く含まれていて、最近では家庭で使う植物油にアマニ油やエゴマ油なども使われる機会が増えています。

 

αリノレン酸の特徴として、非常に酸化しやすいということが挙げられます。酸化した脂肪酸を摂ることは体にとってあまり良いこととはいえません。酸化した油は、動脈硬化の原因になったり、体が酸化して老化スピードを速めたりするからです。そのため、αリノレン酸が入っている家庭用植物油などを使用する場合は、早めに使い切ることが大切です。また、熱にも弱い性質があるため、炒め物などよりもドレッシングやマリネに使用する方が良いとされています。

 

αリノレン酸は広葉植物の葉の葉緑体という光合成の光化学反応が起こる場所の膜組織からも得られます。また、ほうれん草やチンゲン菜の膜組織からも得ることができます。そのため、緑の葉は草食動物のαリノレン酸の供給源でもあるのです。

 

αリノレン酸は1日あたり、2gの摂取が望ましいと考えられています。人間がほうれん草からαリノレン酸を1日2g摂取しようと思うと、約1.4kgものほうれん草を食べなければいけません。そのため、人間はαリノレン酸が多く含まれているエゴマや亜麻などから採取した油を多く摂る必要があるのです。

オメガ3系脂肪酸が注目されている理由

1980年代の初期頃から、研究者たちはオメガ3系脂肪酸に注目するようになりました。
脂肪分の多い魚をたくさん食べているエスキモーの心臓病発生率が低いという研究報告が発表されたからです。

 

脂肪は摂りすぎると、肥満や心臓病などのリスクを指摘されますが、エスキモーは心臓病発生率は低かったのか?研究によって、多く摂取していた魚からオメガ3系脂肪酸を多く摂っていることによると明らかにされました。

必須脂肪酸はバランスが大事

必須脂肪酸には、αリノレン酸とリノール酸の2種類があります。
いずれもホルモンと似た働きをしますが、正反対に作用したりします。

 

例えば、αリノレン酸は血液を流れやすくして、細胞組織を正常に保つ働きがあるのに対し、リノール酸は血液を固めるのに役立ちます。

 

グリーンランドやアラスカの先住民が、動物性脂肪の多い食品を多く食べていたにも関わらず心疾患が少なかったのは、リノール酸とαリノレン酸のバランスが保てていたからだといわれています。

 

リノール酸対αリノレン酸のバランスは4:1が思想的だといわれます。

固まる脂と固まらない油

常温で固まってしまう油もあれば、固まらないような油もあります。
牛や豚、鶏などからでる油は常温で固まりこれを飽和脂肪酸、植物や魚から採れる油は固まらず、これを不飽和脂肪酸と呼びます。

 

「あぶら」のことを「油脂」と呼ぶことがありますが、これは常温で固まるアブラのことを「脂=fat」と書き、常温で液体のアブラのことを「油=oil」と区別することができることによるもので、構造の違いによって表されます。

 

摂取比率は、飽和脂肪酸対不飽和脂肪酸では、2:1が望ましいとされています。